革靴と違い気軽に履くことができるローファーは使い勝手の良いアイテムだ。ビジネススタイルがカジュアルになってきていることから、ビジネスの場でも見かける機会が増えている。今回は、高い人気を誇るブランドを厳選し、各ブランドを代表するローファーとともに紹介していく。
ローファーの種類
ローファーは、デザインに応じて利用シーンを使い分けることが大切な革靴だ。そこでまず、ローファーの代表的なデザインを利用シーンとともに紹介していく。
ローファーの大定番ペニーローファー
アッパーのサドル部分にある切れ込みが特徴的な定番モデル。アメリカの学生たちの間で、アッパーのサドル部分の切れ込みにコインを入れるスタイルが流行り、「ペニー(コイン)ローファー」という別名がつけられた。「コインローファー」とも呼ばれる。幅広い着こなしや、様々なシーンに合わせることができるデザインだ。
房飾りが特徴的なタッセルローファー
タッセルローファーは、「タッセル」と呼ばれる房飾りを装飾したローファーのことを言う。モカシン縫いを施したデザインが多いことから、別名「タッセルモカシン」とも呼ばれる。
歩くたびに小さく揺れるタッセルが特徴的で、カジュアルな印象があるローファーの中でもひと際ドレッシーな存在だ。
タッセルローファーはアメリカにおいて「弁護士の象徴」とも言われているため、違和感なくビジネスの場で履くことができる。非常に使い勝手の良いローファーだ。
装飾が少なくシンプルでスマートなコブラヴァンプ
コブラヴァンプは、モカシン縫い以外の装飾がなく、つま先が少し上向きのスリッポンタイプの革靴のことを言う。特徴は何と言っても、このシンプルさにある。名前の由来は、甲の形が毒蛇のコブラに似ていることからきている。
シンプルなデザインのため、ビジネスシーンに対応させることもできるが、基本的にはカジュアルシーンで利用される。男らしくワイルドなカジュアルスタイルを演出したい時に頼れる存在だ。
コーデを華やかにするビットローファー
ビットローファーは、アッパーのベルト部分に「ホースビット」と呼ばれる馬具を模倣した金属の飾りを施すローファーのことを言う。1953年にイタリアの人気ブランド『グッチ』が作った。ビットローファーの特徴は、エレガンスな見た目にある。
ただし、基本的にはカジュアルなアイテムのため、ビジネスシーンには適さない。オシャレなカジュアルスタイルを演出したい時にオススメのローファーだ。
厳選!ローファー人気ブランド6選!
G.H.BASS (ジーエイチバス)
1876年にアメリカで創業し、ローファーを世界で初めて作った会社。 ローファーを履く文化を確立させたパイオニアで、マイケルジャクソンがG.H.BASS (ジーエイチバス)のローファー愛用したことでも有名だ。
前述したようにアメリカの学生たちの間でアッパーのサドル部分の切れ込みにコインを入れるスタイルが流行り「ペニー(コイン)ローファー」という別名を生むきっかけとなったブランドでもある。
数あるラインアップの中でも人気のロングセラーモデルが『ローガン(LOGAN)』だ。G.H.BASSの象徴的な存在とも言われている。
シンプルで頑丈に仕上げることができるマッケイ製法を採用し、包まれるような快適な履き心地を実現している。上品な光沢を放つブラッシュドレザーは、ロールアップしたジーンズやショーツとの相性も非常に良い。
ローファーの王道ブランドであるG.H.BASSは、ローファーを語る上で外すことのできないブランドの一つだ。
OLD PORT MOCCASIN(オールドポートモカシン)
オールドポートモカシンは、アメリカ・メイン州にある高品質なローファー専業ブランド。有名ブランドのOEM生産も請け負うメイン州のファクトリーでは、今もなおハンドメイドによる生産がおこなわれている。ブランド名は、メイン州の海沿いの街「オールドポート」からきている。
オールドポートモカシンは、レザーソール仕様が中心のローファーにおいては珍しく、多くのラインナップでクレープソールを採用している。そのため、クッション性が高く履きやすさに定評がある。
オールドポートモカシンの代名詞といえば、「ペニーローファー/クレープソール」だ。クッション性に優れたクレープソールを使用していることはもちろんのこと、雨でも気にせず使用できるクロムエクセル仕様となっている。
履き心地の良さと使い勝手の良さを併せ持ったアイテムと言える。クラシックなデザインに加えて適度なボリュームがあるため、カジュアルなボトムスにも合わせやすい。
クレープソールは交換しやすいため、オールドポートモカシンの靴は長く愛用することができる。1足持っておけば重宝すこと間違いなしのブランドだ。
CHURCH’S(チャーチ)
チャーチは、1873年にイギリスで設立された世界的に有名な高級シューズブランド。1965年に「英国女王賞」が授与されたことで、国際的なブランドとして知られることとなった。
1999年にプラダグループによって買収されたことで、伝統的なイメージにモードのイメージが重なり、さらに多くの人気を集めるにいたった。
チャーチはローファーを多く展開しているわけではなく、ラインナップの一部に過ぎない。しかし、そのデザイン性は他のブランドと一線を画している。
チャーチのローファーと言えば、ペニーローファー「タンブリッジ(TUNBRIDGE)」だ。ややロングノーズな型にピンキング(ギザギザなデザイン)を施した上品なデザインが人気を集めている。
チャーチが独自に開発したカーフ素材を使用しているため、傷や汚れがつきにくく、悪天候でも使用できる。光沢が強い点も独自素材によるものだ。 また、グッドイヤーウェルト製法で作られているため、馴染みやすく耐久性に優れている。長く楽しむことができるアイテムだ。
J.M.WESTON(ジェイエムウエストン)
J.M.WESTONは、1891年にフランスで創業した名門シューズブランンド。使用する素材やディテールへのこだわりから作り出されるエレガントなモデルがフランス人の心を掴んだ。 現在では世界中で40店舗を展開する有名ブランドとなっている。
『J.M.WESTON = ローファー』のイメージを定着させた代表的なアイテムが、フラッグシップモデルの「180 シグニチャーローファー」だ。誕生は1946年。
1968年にパリ中心で起きた5月革命(反体制運動)の発端となった学生運動で、多くの若者が「180 シグニチャーローファー」を履いていたため、カウンターカルチャーの象徴として知名度を高めた。
約70年間変わることのないデザインと履き心地は、今もなお多くのファンに愛されている。ロングセラーモデルを軸にし、革新的なモデルを数々排出するJ.M.WESTONは、今後も要注目のブランドだ。
CROCKETT & JONES(クロケット & ジョーンズ)
CROCKETT & JONESは、1879年にイギリス高級靴のメッカとされるノーザンプトンで設立された。世界中で最も多くの種類の木型を持つブランド。
グッドイヤーウェルト製法やベルトショーン製法を採用し、1足の靴を作るために約8週間もの期間をかけて最高品質の靴を作り上げる。
CROCKETT & JONESの不朽の名作であり、コインローファーの顔となっているモデルが「ボストン」だ。ラスト314を採用した丸みのあるトラッドなデザインが、長年にわたって多くのファンを獲得している。
また、「ボストン」をベースに改良を加えた「ボストン2」というモデルも販売されている。 従来の木型を日本人の足に合うように改良し、フィット感を高めたラスト376を採用して作られている。
SEBAGO(セバゴ)
SEBAGOは、1946年にアメリカで設立されたブランド。モカシン縫いを世間に広く浸透させた存在と言われている。
1980年代に発表したモカシン縫いの代表モデル「ドッグサイド」は、アメリカの学生の間で大ブームとなった。そのような経緯より、アメリカでは今でも「学生靴 = SEBAGO」と認識されている。今では、85ヶ国以上で展開しているグローバルブランドだ。
SEBAGOの定番アイテムであるペニーローファー「Classic」と並んで世界的に知名度が高いアイテムが、ガラスレザーを使用したタッセルローファー「Kerry」だ。
手縫いによるモカシン製法を採用しているため足馴染みが良く、シンプルなデザインと上品なタッセルが人気を集めている。
ベーシックなデザインのため、ビジネススタイルにもカジュアルスタイルにも対応できる。ペニーローファーが主体になりやすいローファーコレクションの中において、アクセントとして一足は持っておきたいアイテムだ。