秋冬シーズンが近づくにつれ、季節感を取り入れたビジネスカジュアルのファッションのビジネスマンを見かける機会が多くなってくる。季節感のあるコーディネートは一見難しく感じるかもしれないが、ちょっとしたアイテムを合わせることで簡単に作りあげることができる。
今回は、そんな便利なアイテムの一つとして、オンでもオフでも秋冬のおしゃれなコーディネートを実現してくれるスウェード靴を紹介していく。
スウェード靴の特性と注意点
靴の素材として馴染みのあるスウェード。スウェードの靴は、一足持っておくだけで幅広いコーディネートに使える優秀なアイテムだが、長く愛用するためには特性と注意点を知っておくことが大切となる。
ここでは、スウェードという素材の特性と、長く愛用する上での注意点を紹介する。
スウェードとは?
スウェードは、牛や羊などの皮革の裏面をサンドペーパーやヤスリを使用して起毛加工した素材で、加工技術がスウェーデン発祥ということから「スウェード」と呼ばれるようになった。
一般的に、毛足の短さと柔らかさを兼ね備えたものほど価値が高い。
スウェード靴の特徴と注意点
スウェードは皮革の裏面を起毛させているため、独特な光沢と柔らかい肌触りからなる暖かい風合いが特徴。
基本的に丈夫な素材だが、汚れやすいというデメリットがある。そのためスウェード靴を履く際は、日々の手入れが大切になってくる。
スウェード靴のお手入れ
スウェードは、長年使用するにつれて「色落ち」や「風合いの低下」などが気になってくる。手入れが大変なように思われがちだが、実際は簡単だ。
まずは履く前に防水スプレーを利用
まず、使用する前に防水スプレーで全体をコーティングしておくことが大事だ。防水スプレーは水分を弾くだけでなく、汚れの付着も防いでくれるためおすすめ。
日々のお手入れにスウェード靴用のブラシを
日々の手入れは、ブラッシングと生ゴム(サンドペーパーでもOK)による汚れ落としのみ。表面のホコリなどを馬毛ブラシなどの柔らかいブラシで取り除き、黒くシミになった部分を生ゴムかサンドペーパーで軽くこすって取り除いていく。
そして、週一ぐらいの目安でスウェードブラシで毛並みを整えることをおすすめする。毎日する必要はないが、日々気にかけておくことが長年の愛用につながる。
色落ち対策は補色用のスプレーを
最後に「色落ち」だが、こちらはスウェードスプレーで補色する。色落ちしている部分だけでなく、色の統一感を出すために全体にまんべんなく吹き付けることがポイント。補色後は防水スプレーも忘れずに。
スウェード靴が濡れてしまった場合
スウェード靴は雨の日に履く靴として開発されたが、濡れたまま放置しておくとシミになることがある。そのため、濡れてしまった際はケアすることをおすすめする。
まず、新聞紙などをスウェード靴の形を崩さないよう内側に詰め、風通しのよいところで日陰干しにする。新聞紙はこまめに取り替えること。
生乾き段階まできたらシューズキーパーを入れ、完全に乾くのを待つ。乾いた後は防水スプレーやブラッシングの手入れをおこなうことを忘れずに。
おすすめ秋冬スウェード靴コーディネート
それではここから、スウェード靴を取り入れた秋冬におすすめのビジカジコーデを紹介していく。
ネイビージャケット × グレーパンツ × 黒スウェード靴
ネイビージャケットとライトグレーパンツのビジカジ王道コーデに、黒のスウェードローファーを合わせたコーディネート。スウェード靴を採用することにより、全体を暖かい雰囲気にまとめている。
またタッセルローファーは比較的ビジネスシーン向けのため、スウェード素材で季節感とシーンを考慮したコーディネートとなっている。黒のスウェード靴は様々なコーディネートに合わせやすいため、一足持っておくと重宝するアイテムだ。
白パンツ × スウェード靴
チェック柄のジャケットと白パンツの組み合わせに、ブラウンのスウェード靴を合わせた爽やかでおしゃれなコーディネート。
白パンツとブラウンのスウェード靴との相性はとてもよく、爽やかさの中にも大人の上品さを感じられるコーディネートになる。
白パンツは夏のイメージが強いが、スウェード靴が足元を暖かい雰囲気にするため、全体を秋冬コーデにまとめやすくしてくれる。 夏に使用した白パンツを秋冬でも使用したい時は、ブラウンのスウェード靴がおすすめだ。
ワントーンコーデ × スウェード靴
スウェード靴はカラーバリエーションが豊富に展開されているため、おしゃれなワントーンコーデを作りやすい。
中でもダークトーンのカラーはおすすめ。スウェード素材の魅力である起毛感が際立つため、コーデ全体をエレガントにまとめてくれる。
またワントーンコーデだけでなく、スーツスタイルからビジカジスタイルまで幅広く対応できるカラーを見つけられる点もスウェード靴の魅力。ぜひお気に入りのカラーを見つけてほしい。
ジーパン × スウェード靴
ジャケットとジーパンにスウェード靴を合わせたコーディネートは、ジーパンOKの職場やビジネス環境に身を置く人におすすめ。
基本的にジャケパンスタイルは、パンツにスラックス丈を採用した方がおしゃれにまとまる。そして、スウェード靴の暖かみに合う靴下を組み合わせることで、全体に秋冬の季節感を出すことができる。
このように、ジーパンを使用したビジカジコーデを作りたい時にスウェード靴はおすすめだ。
スウェード靴おすすめブランド
ここからは、スーツスタイルにもビジカジスタイルにもおすすめのスウェード靴ブランドを紹介していく。
JALAN SRIWIJAYA (ジャランスリウァヤ)
1919年にインドネシアで創業したジャランスリウァヤ。靴工業として、オランダの植民地であった頃から外国人向けにミリタリーブーツの製造を手がけていた。
その後、経営者の息子であるルディ・スパーマンが「これからは平和の時代だ」という想いから靴の聖地イギリス・ノーサンプトンで修行を積み、フランスで皮革の生産を学んだことで、ジャランスリウァヤが誇る「ハンドソーンウェルテッド製法」による靴づくりを可能にした。
ハンドソーンウェルテッド製法は、グッドイヤーウェルト製法の原型となる製法。現在では、時間と労力がかかることから減少の一途をたどっている。しかし、履きこむことで足に馴染むため、履き心地のよさからファンも多い。
大量生産に向かない製法を採用しつつも、比較的安価に高品質の革靴を手に入れられる点がジャランスリウァヤの特徴だ。
ジャランスリウァヤのスウェード靴コレクションは、様々なデザインとカラーが展開されている。靴業界で最もコスパがよいと言われることからも、スウェード靴にはじめて挑戦し、品質のよい自分好みのスウェード靴を見つけたい人におすすめだ。
CROCKETT & JONES(クロケット & ジョーンズ)
CROCKETT & JONESは、1879年にイギリス高級靴のメッカとされるノーザンプトンで設立された。世界中で最も多くの種類の木型を持つブランド。
グッドイヤーウェルト製法やベルトショーン製法を採用し、1足の靴を作るために約8週間もの期間をかけて最高品質の靴を作り上げる。
スウェード靴のコレクションも豊富で、様々なデザインが展開されている。品質の高さに定評があるため、スウェード靴を長く愛用したい人におすすめのブランドだ。
Clarks(クラークス)
クラークスは、1825年にイングランド南西部のストリートという街で設立された歴史あるブランド。現在では、カジュアルシューズの世界的ブランドにまで成長している。
クラークスが展開するコレクションの中で、最も定番として親しまれているものがデザートブーツだ。1950年の発売以来、履き心地の良さが世界中で話題となり、現在では累計2,000万足以上の販売実績を誇っている。
シンプルなデザインのためトレンドに左右されにくく、比較的安価に手に入れられる上に高品質なことから、長く愛用することができる。
オンでもオフでも使えるスウェード靴としておすすめのブランドだ。
大塚製靴
大塚製靴は、皇室御用達の革靴ブランドとして名高いブランド。国産革靴ブランドの代名詞といっても過言ではない。
大塚製靴は、1872年(明治5年)に当時14歳だった大塚岩次郎氏が、東京新橋で小さな靴メーカーを創業したのが始まり。当時から「日本人のための靴を」という理念のもと、技術研鑽に明け暮れた結果、1892年(明治25年)の万国博覧会で金牌を受賞し、世界中にその名を轟かせた。
1922年に機械製靴に着手し、2001年には靴業界初となるISO9001:2000品質マネジメントシステムに認定されるなど、新しいことに挑戦する姿勢は今もなお失われてはいない。
大塚製靴のスウェード靴は人気が高く、予約待ちがほとんどだ。長くて1年半待ちの靴もあるため、早めの行動をおすすめする。
CHURCH’S(チャーチ)
チャーチは、1873年にイギリスで設立された世界的に有名な高級シューズブランド。1965年に「英国女王賞」が授与されたことで、国際的なブランドとして知られることとなった。
1999年にプラダグループによって買収されたことで、伝統的なイメージにモードのイメージが重なり、さらに多くの人気を集めるにいたった。
英国カントリーサイドの雰囲気がただようチャーチの定番として知られるチャッカブーツは、グッドイヤーウェルテッド製法による堅牢な作りが特徴的。
大人のおしゃれを足元から表現できるチャーチは、トレンドに左右されにくいブランドとして押さえておきたいところだ。